【経済の話】ギリシャ国債利回りが2カ月ぶり高水準、課税めぐる不透明感で

ギリシャ国債利回りが2カ月ぶり高水準、課税めぐる不透明感で

ロイター 5月17日(土)4時27分配信

[ロンドン 16日 ロイター] - 16日のユーロ圏金融・債券市場では、ギリシャ10年債利回りが前日に続き約2カ月ぶり高水準を更新した。海外投資家が保有するギリシャ国債に対する課税をめぐる不透明感が払拭しきれていないことが背景。

ギリシャ政府が海外投資家が保有するギリシャ国債に対し遡及的に課税する可能性があるとのうわさが前日から出ており、ギリシャ国債利回りは上昇していた。

この日は複数のギリシャ財務省関係筋がロイターに対し、海外のギリシャ国債保有者が2012─13年に得たキャピタル・ゲインに関する納税義務を撤廃する方針を表明、不安感の払拭に努めた。

ギリシャ10年債<GR10YT=TWEB>利回りは一時15ベーシスポイント(bp)上昇して6.97%と、3月21日以来の水準を更新。取引後半にかけて上げ幅を削り、終盤の取引では5bp上昇の6.88%となっている。

市場では、政府関係者が納税義務を撤廃すると表明しても、今週に入りギリシャ国債を手放した投資家を直ちに呼び戻すことは難しいとの見方が出ている。

コメルツ銀行金利ストラテジスト、デビッド・シュナウツ氏は、「市場は若干落ち着きを取り戻したように見えるが、欧州議会選挙が近いこともあり、当面は不安定な動きが続くと見られる」と述べた。

ギリシャ国債利回りは年初から約250bp低下しているが、アナリストの間では、ヘッジファンドによる売りに端を発した今回の利回りの上昇が、単なる短期的な反転では済まない可能性もあるとの懸念も出ている。

BNPパリバのストラテジスト、パトリック・ジャック氏は、「市場が再び大きく乱高下するようになれば、リスク選好度に変化が出てくる可能性もある」としている。

ギリシャ国債をめぐる不透明感は他のユーロ圏債券にも広がり、ポルトガル10年債<PT10YT=TWEB>利回りは7bp上昇の3.792%となった。

スペインとイタリア国債は利回りが3%を上回った時点で買い戻しが入り、終盤の取引でスペイン10年債<ES10YT=TWEB>利回りは5bp低下の2.96%、イタリア10年債<IT10YT=TWEB>利回りは2bp低下の3.06%となった。

コメルツ銀行のシュナウツ氏は、「ポルトガルギリシャ国債は非常に不安定だが、イタリアとスペインはしっかりとしている」とし、「この日の取引でイタリアとスペイン国債が反発したことで、両国の国債に対する信頼感が高まる可能性がある」と述べた。


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