【経済の話】伊ルックスオティカ、「グーグルグラス」の新製品を開発へ

伊ルックスオティカ、「グーグルグラス」の新製品を開発へ

ウォール・ストリート・ジャーナル 3月25日(火)13時27分配信

 「レイバン」や「オークリー」などのサングラスブランドを傘下に置くイタリアの眼鏡大手ルックスオティカは24日、米グーグルの眼鏡型端末「グーグルグラス」の新製品のデザイン・開発・販売を手掛けることに同意したと明らかにした。消費者の間ではグーグルグラスの利点に懐疑的な見方もあるが、眼鏡業界が同製品に関心を抱いていることがあらためて示された。

 ルックスオティカのアンドレア・グエラ最高経営責任者(CEO)はインタビューで「グーグルは眼鏡を使用する新たな潜在的機会を広げた」とし、グーグルとは昨年提携を開始したと述べた。

 グーグルは1月、グーグルグラス用の度付きレンズと補助金付きフレームのほか、同製品の調整方法に関する検眼士への研修の提供について、視覚関連サービス大手VSPグローバルと提携した。

 グーグルはルックスオティカの助けを借りて、グーグルグラスに対する消費者の疑念を晴らしたいと考えている。同社のイノベーションラボ「グーグルX」でグーグルグラスのプロジェクトを統括しているアストロ・テラー氏は、人々に自分の顔にコンピューターを身に着けてもらうのは「とてもハードルが高い」とし、「技術的な問題と同じぐらいファッション面の問題も大きい」と語った。

 テラー氏とグエラ氏は、ルックスオティカが手掛けるグーグルグラスの発売時期や、外観の詳細については明らかにしなかった。グエラ氏によると、オークリーとレイバンのデザイナーがグーグルのデザイナーと協力して、単にルックスオティカのサングラスにグーグルの機器を取り付けるのではなく、グーグルグラスの技術を組み込んだ眼鏡の開発を進めている。

 両社は提携の金銭面の詳細についても明かさなかった。

 調査会社フォレスター・リサーチのウエアラブル端末担当アナリスト、JPガウンダー氏は「ルックスオティカとの提携はグーグルにとって大成功だ」とし、「グーグルは一挙に眼鏡の調整を通じて何千万人、何億人もの消費者の目にグーグルグラスを触れさせることができるようになる」と述べた。

 ルックスオティカの広大な流通網がこれを後押しするだろう。ユーロモニター・インターナショナルによると、2012年の世界の眼鏡市場で同社のシェアは12.4%とトップだった。同社はさらに、「レンズクラフターズ」や「サングラスハット」などの小売りチェーンも展開している。グエラ氏によれば、これらのチェーンが、5000店以上の米国店舗を通じてグーグルグラスを販売するという。

 グーグルがすでに販売で支援を受けているVSPは米国全土で3万人の眼科医と提携し、6000万人のサービス登録者を抱えている。

 グーグルはグーグルグラスに対する逆風に立ち向かっている。サンフランシスコのあるバーは、客が録画や録音されることを心配していることを理由にグーグルグラスの使用を禁止した。オハイオ州コロンバスのグーグルグラスのユーザーは、映画を盗撮したと疑われて連邦当局者に映画館から引きずり出された。

 グーグルは先週、「グーグルグラスの迷信トップ10」というタイトルのブログ記事でこうした懸念に反論しようとした。また、すでにグーグルグラスを使っているユーザーに対し、こっそり写真を撮るなどして「glasshole」にならないよう忠告した。

 フォレスターのガウンダー氏は、グーグルは「グーグルグラスは主に業務用に使用される」という認識とも戦わなければならないと指摘した。例えば、オーグメディックスは先週、医師がグーグルグラスを使ってより効率的に患者のカルテを管理できるようにするために320万ドルを調達したと発表した。

 ガウンダー氏は、ルックスオティカとの提携が新製品の誕生よりはるかに前に発表されたことについて、「開発業者はグーグルグラスがまさに消費者向けの製品であると再確認するはずだ」と述べた。

 広報担当者によると、グーグルは新製品の価格について社内で協議を続けている。発売日もまだ決めていないが、年内を希望している。

Rolfe Winkler


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