【経済の話】アップル、過去1年で4兆円の自社株買い―CEOインタビュー

アップル、過去1年で4兆円の自社株買い―CEOインタビュー

ウォール・ストリート・ジャーナル 2月7日(金)13時48分配信

 【クパチーノ(米カリフォルニア州)】米アップルは、市場予想を下回った10-12月期(第1四半期)決算発表後の2週間で140億ドル(約1兆4300億円)の自社株買いを実施した。ティム・クック最高経営責任者(CEO)がウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)とのインタビューで明らかにした。

 クック氏はインタビューで、第1四半期決算発表翌日の1月28日に株価が8%下落したことにアップルとしては「驚いた」と述べ、「攻めの姿勢」を持ち、「臨機応変」に対応する意向だと述べた。

 クック氏によると、アップルは直近の自社株買いを含め過去12カ月で400億ドルを超える株式を買い戻した。これは同様の期間の自社株買いとしては他社に類をみない最高規模だとクック氏は指摘した。

 クック氏は当地のアップル本社ビルの会議室でインタビューに応じ、「これは、われわれがアップルを大いに見込んでいるという意味だ。われわれが自分たちが今していることや、計画していることに本当に自信を持っているということだ」と語った。「われわれは言うだけではない。行動でそれを示している」

 クック氏は、同社は600億ドルの自社株買いを実施する計画を以前発表しており、今回の買い戻しもその一環だと述べた。また、3月か4月に自社株買いについて新たな情報を公表する予定だと話した。

 今回の自社株買いについての発言は、2月28日の株主総会を数週間後に控えた中で行われた。総会では物言う投資家のカール・アイカーン氏が、1600億ドルにまで積み上がった内部留保をもっと積極的に活用するよう迫る見通しだ。

 アップル株約40億ドルを保有するアイカーン氏は、現行の買い戻し計画を拡大し、9月末までにさらに500億ドルの自社株買いを実施するよう求める議案を株主総会に提出している。

 この件についてアイカーン氏にコメントを求めたが、すぐに回答は得られなかった。

 クック氏は「株主の短期利益やデイトレーダーのためではなく、株主の長期利益のために調整できるようにしたい」とし、「買収したくなるような巨大な企業が明日現れるかもしれないし、予想もしない事態が株式市場に起こるかもしれない」と述べた。

 アップルはこれまで大規模な買収は行っておらず、1度に10億ドルを超える案件には手をつけていない。クック氏によると、過去15カ月で買収した企業は21社。

 これは米インターネット検索大手グーグルとは対照的だ。グーグルはあらゆる種類のテクノロジー企業を相次いで買収している。中でも目を引くのが、アップルの元社員が創業した米ネスト・ラボの32億ドルでの買収だ。ネスト・ラボはネットに接続する温度調節装置(サーモスタット)や煙探知機を製造している。

 クック氏はこれまでの買収の規模が比較的小さかったからといって、今後も大型買収は実施しないということはなく、戦略的または財政的に理にかなっていれば、そうするとの考えを示した。

 クック氏は「大企業にも目を向けている。大企業は買収しない傾向があるというわけではない。『10社リストアップし、最適な企業を1社選ぼう』といった感じにたやすく資金を使っているわけでもない」とし、「最適な企業、すなわち長期的にアップルの最善の利益にぴたりとかなう企業があれば、10桁の資金を投じることに何の問題もない。本当だ」と述べた。


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