【経済の話】<アップル>スマホ、低価格競争激化背景に 4期連続減益

<アップル>スマホ、低価格競争激化背景に 4期連続減益

毎日新聞 1月28日(火)22時17分配信

<アップル>スマホ、低価格競争激化背景に 4期連続減益

スマートフォンの世界シェア

 【サンフランシスコ平地修】米アップルが27日発表した2013年10〜12月期決算は、売上高が前年同期比6%増の575億9400万ドル(約5兆9000億円)と過去最高を記録したものの、最終(当期)利益は4四半期連続の前年割れとなった。今年1〜3月期の業績予想も低水準にとどまり、市場には失望感が広がった。低価格のスマートフォンを武器にする中国勢との競争激化などが背景にあり、アップルの今後の戦略が注目される。

 アップルは昨年9月に「iPhone(アイフォーン)」の最新モデル「5s」と初の廉価モデル「5c」を発売。10〜12月期の販売台数は前年同期比7%増の約5100万台と四半期ベースで過去最高となったが、5500万台程度との予想には届かなかった。タブレット端末「iPad(アイパッド)」も14%増の約2600万台と過去最高を記録したが、いずれも低価格モデルの販売増で利益は下押しされ、全体の最終利益は130億7200万ドルと前年(130億7800万ドル)を下回った。

 新製品はアップルらしい革新性が乏しくなったとの見方もあるほか、スマホ華為技術(ファーウェイ)やレノボなど中国の地場メーカーが低価格を武器に伸長。タブレットも米アマゾン・コムが低価格の「キンドル・ファイア」を投入するなど、販売競争が激化している。身につけて使うウエアラブル端末など新製品の登場を期待する声もあるが、情報通信総合研究所の清水憲人主任研究員は「スマホタブレットほど普及する新製品は難しい。スマホなどの機能性を高めて満足度を上げる地道な取り組みをするしかない」と低成長時代のかじ取りの必要性を指摘する。

 さらに市場の失望を誘ったのが、同時に発表された今年1〜3月期の見通しだ。売上高は420億〜440億ドルと予想。前年同期(436億ドル)を割り込む恐れがあり、市場の予想も下回った。これを受け、27日のアップル株は決算発表後の時間外取引で急落し、通常取引の終値に比べ一時約8%値を下げた。

 中国では今年1月から、7億人を超える契約者を持つ世界最大の携帯通信事業者、中国移動(チャイナモバイル)がアイフォーンの取り扱いを開始。このため、市場ではアップルの1〜3月期の業績に期待が高まっていた。しかし、アップルのクック最高経営責任者(CEO)は同日の決算説明会で「すばらしいスタートを切った」としながらも、販売拡大には時間がかかるとの見通しを示した。

 中国では「1000元(約1万7000円)スマホ」と呼ばれる安価なスマホの購入比率が高く、アイフォーンの廉価版(約8万円)でも割高感がある。クックCEOは「我々の目標は最も多く売れるものではなく、最もすばらしい製品をつくることだ」というが、さらなる低価格品の投入など戦略転換を迫られる可能性もある。

 【キーワード】世界のスマホ市場

 米調査会社IDCによると、2013年の世界出荷台数は10億420万台。メーカー別の世界シェアは韓国サムスン電子が前年比1.0ポイント増の31.3%で3年連続首位、2位の米アップルは同3.4ポイント減の15.3%だった。両社は11年、シェア19%で拮抗(きっこう)していたが、12年以降、サムスンが普及価格帯のスマホを投入して新興国でも販路を広げ、引き離した。ただ、中国勢の台頭で競争は激化し、サムスンの13年10〜12月期連結決算は営業減益だった。基本ソフト(OS)別のシェア(13年7〜9月期)は米グーグルのアンドロイドが81.0%、アップルのiOSが12.9%。スマホは今後も中国やアフリカなどで需要が伸び、17年には出荷台数16億台超との予測もある。


http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140128-00000105-mai-bus_all
※この記事の著作権は、ヤフー株式会社または配信元に帰属します


【おすすめサイト】
経済ニュースが満載!FX・金融・財テク情報発信基地