【経済の話】<ビットコイン>返金、一段と困難に…マウント社破産へ

ビットコイン>返金、一段と困難に…マウント社破産へ

毎日新聞 4月16日(水)22時32分配信

 インターネット上の仮想通貨「ビットコイン」の有力取引所、マウント・ゴックスが再建を断念し、破産手続きに移行する見通しとなった。消失したとされる利用者のお金が戻る可能性は一段と低くなり、投資家からはあきらめの声も聞かれる。国内外で仮想通貨に対する規制の議論が進んでいるが、安全性と自由な取引のバランスをめぐり、着地点はまだ見えていない。

 ◇コインの行方、依然不明

 「約70ビットコインを預けていたが、もうあきらめている」。同社の取引所を利用していた男性は16日、ため息をついた。

 東京地裁は近く、同社の破産手続き開始を決定する見通しだ。それまでの間、同社の財産の処分は禁じられ、利用者へビットコインや預かり金を返すことはできない。

 破産手続きの開始決定後は、地裁が選んだ管財人が同社の財産の状況を調べる。利用者ら債権者は、預けたお金やビットコインなどの債権を地裁に申告する。管財人は売れる財産をすべて売却し、債権の額などに応じて債権者に配当する。

 問題は、消えたとされるビットコインや預かり金の行方が依然として判明しないことだ。同社は3月、消えた85万ビットコインのうち約20万ビットコインが見つかったと発表したが、詳細は不明。地裁から保全管理人に選ばれた小林信明弁護士は、16日発表した文書で「専門家の協力を得ながら、可能な限り調査する」と説明した。マルク・カルプレス社長の経営責任も「破産手続きの中で調査される」(小林弁護士)見通し。多額の不明金の責任が厳しく問われそうだ。

 同社の財産が少なければ、配当は低くなる。配当に回す財産がないと判断されれば、配当されず手続きが終わることもある。カルプレス社長は文書で、事業を第三者に売却し、その利益を原資にすることで配当を増やしたい考えを表明した。しかし、買い手が見つかるか、高く売れるかは見通せない。

 利用者など債権者数は12万7000人に上り、うち日本人は0.8%程度。同社は2月、利用者の約75万ビットコインと、同社保有の約10万ビットコイン(当時の同社のレートで計114億円)が消失したと発表。海外の主要取引所の当時のレートでは約480億円が消えた計算だった。

 債権者の問い合わせは、同社のコールセンター(03・4588・3921)で平日午前10時から午後5時まで受け付ける。


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