【経済の話】インタビュー:東京ガス、電力自由化で専任部署立ち上げ=新社長

インタビュー:東京ガス電力自由化で専任部署立ち上げ=新社長

ロイター 4月1日(火)0時46分配信

インタビュー:東京ガス、電力自由化で専任部署立ち上げ=新社長

4月1日、東京ガスの広瀬道明・新社長は、ロイターのインタビューで、電力小売り全面自由化に向けて、社内にプロジェクト部署を立ち上げると明らかにした。写真は都内の電線。2009年1月撮影(2014年 ロイター)

[東京 1日 ロイター] -東京ガス<9531.T>の広瀬道明・新社長(1日就任)は、ロイターのインタビューで、2016年4月めどに実施される電力小売り全面自由化に向けて、4月に社内にプロジェクト部署を立ち上げると明らかにした。

家庭用市場が対象となる全面自由化に対し広瀬社長は、「エンドユーザーにどういうかたちで電気を提供していくのかが、大きなテーマだ」と述べた。

電力小売り部分自由化は、大規模工場などの大口需要家を対象に2000年3月に開始し、05年4月には中小ビルなど対象を拡大。東京ガスは、自由化市場への参入で大阪ガス<9532.T>、NTTファシリティーズ(NTT<9432.T>の全額出資)との共同出資新電力、「エネット」(東京都港区)を2000年7月に立ち上げた。エネットへの出資比率は、NTTファシリティーズ40%、東ガスと大ガスが30%ずつ。

エネットは、新規参入の電力事業者(新電力)が獲得した市場シェアの約50%を握り、新電力のトップに立った。広瀬氏は、「エネットは成功したケースだ。ただ、自由化範囲が家庭用まで広がった時に、どういうかたちが顧客、市場の求めにもっとも応えられるフォーメーションなのかは、いろいろ検討する必要がある」と述べた。同氏は、「東京ガス大阪ガス、NTTとも小口の顧客との関係は(従来から)やってきた。(エネットを含め)4社の中で、一番良いビジネスをこれから考えると思う」と語り、小売り全面自由化に備えるための新しい編成の検討が必要との認識を示した。

電力自由化に伴い、経済産業省はガス市場の小売り全面自由化の方針を決定。ガス市場は、07年4月から小規模工場やビジネスホテルなど年間使用量が10万立方メートル以上の需要家向けの小売りが自由化されている。近い将来は家庭向けも自由化対象となり、電力会社が攻勢を強める可能性がある。

従来の部分自由化の中で、ガス市場への新規参入者のうち、4割近くを電力会社が占める。自由化対象の電力市場で、新電力のシェアは4%弱(12年度)だが、ガス市場への新規参入者のシェアは15%(同)を超えるなど、電力とガスにおける新規参入組の浸透度合いは、非対称な結果を示している。

広瀬氏は、ガス自由化への備えについて、「トータルな料金は平均でみれば東京ガスが一番安いと思っているが、部分部分では当社のほうが高いケースも出てくるだろう。料金以外にもサービスや保守など、何十年も築いた顧客との信頼関係は大丈夫ではないかと思っている」と語った。

ただ、年間9000万近い日本のLNG(液化天然ガス)輸入量のうち約7割は電力会社による。広瀬氏は、「電力のほうがガスを圧倒的に持ち、LNG基地も所有している。ガス会社が(新たに)100万キロワット規模の発電所を作ると1000億円くらいかかる。電力がガス市場に入るほうが簡単で、ガスが電力に入るのは大変」などと語り、電力・ガス両市場の相互参入において、電力事業者が市場シェアの数値面で優位に立つ傾向があるとの認識を示した。

ガスの小売り全面自由化(実施時期は未定)によって、ガス会社のほうが本業のシェアを電力事業者に奪われる割合が増すかどうかについて、広瀬氏は、「そういう可能性はあるかもしれない」と述べた。

(インタビュアー:浜田健太郎 月森修 インタビューは27日に実施しました)


http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140401-00000001-reut-bus_all
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