【経済の話】アングル:新興国富裕層の逃避資金、ロンドン不動産市場に殺到か

アングル:新興国富裕層の逃避資金、ロンドン不動産市場に殺到か

ロイター 2月11日(火)10時3分配信

アングル:新興国富裕層の逃避資金、ロンドン不動産市場に殺到か

2月7日、新興国で起きている政治的混乱や金融市場の動揺を受け、そうした国々の超富裕層からの「逃避資金」が、すでに過熱気味となっているロンドンの不動産市場に向かいつつあるという。写真は昨年8月、ロンドン北部で撮影(2014年 ロイター/Suzanne Plunkett)

[ロンドン 7日 ロイター] -新興国で起きている政治的混乱や金融市場の動揺を受け、そうした国々の超富裕層からの「逃避資金」が、すでに過熱気味となっているロンドンの不動産市場に向かいつつあるという。英不動産コンサルティング大手ナイト・フランクが7日明らかにした。

同社によると、アルゼンチンやウクライナ、トルコといった国からの英不動産市場に関するオンラインでの問い合わせが、過去1年で急増しているという。住宅用不動産調査チームのトム・ビル氏はロイターの取材に、「ロンドン中心部の一等地の不動産市場には、さらなる投資の波が押し寄せる可能性がある」と述べた。

ロンドンの不動産市場は、ユーロ圏債務危機や中東・北アフリカ民主化運動「アラブの春」が契機となった海外マネーの流入などで、すでに価格が高騰している。

英住宅金融機関ネーションワイドの統計によれば、2013年10─12月のロンドンの不動産価格は全体で前年比14.9%上昇。高級物件ではさらに急騰しており、ロンドンの不動産市場は多くの住民にとって手が届かない水準となっているため、政治問題にもなっている。

オズボーン財務相は昨年12月、海外投資家が自宅として使用していない住宅を売却する場合、2015年からはキャピタルゲイン税を徴収する方針を明らかにした。

ナイト・フランクは、英不動産市場に関するブラジルからの問い合わせが今年1月末までの1年間で2倍以上に増え、その大半はロンドン市内の住宅物件についてだったとしている。

<フラジャイル5>

こうした状況について、法律事務所ウィザーズ・ワールドワイドで富裕層顧客を専門とするソフィー・ドュオレツキー氏は「驚くには値しない」と指摘。「ロンドンの高級不動産に投資すれば、安全な通貨に投資したような安心感を得られるのだろう」と語った。

ナイト・フランクへの問い合わせが最も急増しているブラジルは、新興国の中でも特に巨額の経常赤字を抱えて海外資本への依存度が高く、米連邦準備理事会(FRB)による緩和縮小の影響を受けやすい「フラジャイル5」(ぜい弱な5カ国)の一角となっている。

ブラジルに次いで問い合わせが増えているのは、通貨危機のさなかにあるアルゼンチンと政治的混乱が続くウクライナ。ブラジル以外の「フラジャイル5」からもロンドン不動産市場への関心は高まっており、ナイト・フランクへの問い合わせ件数は、インドネシアとトルコからが同10%、南アフリカからが同9%、インドからが同3%増えている。

各国のナイト・フランクのサイトへの問い合わせ件数の増加率(2014年1月末までの12カ月間、対前年比)は以下の通り。

アルゼンチン 67%

ブラジル  115%

中国     31%

インド     3%

インドネシア 10%

メキシコ   37%

南アフリカ   9%

トルコ    10%

ウクライナ  67%


http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140211-00000046-reut-bus_all
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