【経済の話】<月例経済報告>景気回復「賃上げ」「消費増税後」焦点

<月例経済報告>景気回復「賃上げ」「消費増税後」焦点

毎日新聞 1月17日(金)22時10分配信

<月例経済報告>景気回復「賃上げ」「消費増税後」焦点

景気の基調判断の上方修正の推移

 政府が17日発表した1月の月例経済報告は、景気の基調判断を「緩やかに回復している」として、前月までの「緩やかに回復しつつある」から4カ月ぶりに上方修正した。好調な個人消費や設備投資を反映した格好。経済の好循環と息の長い景気回復を実現するには、今後、賃上げの動きがどこまで広がるかや、消費増税後の消費の減速をいかに食い止めるかが焦点になりそうだ。【田口雅士】

 甘利明経済再生担当相は同日の記者会見で「明確に『回復している』という表現に変更した。各種経済統計、調査報告がすべて力強く回復に向かっていることを踏まえた」と説明。「4月の消費増税前の駆け込み需要があることは事実だが、確実に景気が回復していることを実感した消費行動になっている。設備投資も拡大が期待される」と述べた。

 月例経済報告の景気の基調判断の推移をみると、昨年1月から上方修正を繰り返している。横ばいで推移する月はあるものの、下方修正は一度もなく、昨年7月には10カ月ぶりに「回復」の文字を盛り込み、今回はリーマン・ショック前の2008年1月以来、6年ぶりに「回復している」と言い切る表現を使った。

 1月の個別項目では、個人消費が「増加している」として上方修正。主に自動車など一部に駆け込み需要もみられることを踏まえた判断だ。設備投資は、先行きを示す昨年11月の機械受注統計が前月比9・3%増と予想を上回る伸びで、金額がリーマン・ショック前の08年7月以来の高水準となったことなどから「持ち直している」に判断を引き上げた。また倒産件数も「緩やかに減少している」と上方修正した。

 景気回復の動きが広がりをみせ、経済の好循環の実現に向けて前進しているようにみえるが、円安による輸入原材料価格の上昇に苦しむ中小企業などには、まだ恩恵は達していないのが実情だ。景気回復の動きを力強いものにするには、春闘で賃上げの動きが波及し、さらなる消費の底上げが不可欠となる。

 今年は4月に消費増税という大きなハードルを控える。駆け込み需要の反動減が予想される4〜6月期から、7〜9月期でどこまで回復できるのか、楽観はできそうにない。「今年12月」とされる消費税率10%への再引き上げの判断に向け、景気の行方が今後の政策にも影響を与えそうだ。


http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140117-00000129-mai-bus_all
※この記事の著作権は、ヤフー株式会社または配信元に帰属します